serious bunburying

心のメモ感覚で書いてます。

おなかをみせる

本音で話すのが、とても苦手だ。

私と恋人は、来年の1月で付き合って3年になる。

最初の1年は毎日好き好き言っていたし、不動産屋の前を通るたびに「こんなところに住みたいね」なんて話していた。夜の方もかなり頻繁だった。

2年目(二人とも大学3年)に入ると、以前ほど好き好き言わなく/言われなくなったが、お昼には一緒にお弁当を食べたり、デートや旅行にも行ったりして普通に仲良くしていたと思う。

マンネリを感じ始めたのは大学3年の12月ごろからである。まず夜のほうを全くしなくなった。これは私にも非があるのだが、就活のストレスなどが積み重なって自分の外見に全く自信が持てなくなってしまったのだ。彼が私についてどう思っていたかはわからなかったが、夏ごろからだんだん誘われなくなったこともあり、幻滅されたのだろうなと考えていた。

 

3月に緊急事態宣言が出されて以降は、ほとんど会わなくなった。私は就活で精神的に追い込まれていて彼に会いたくなかったので、会えないことが辛いとは思わなかった。彼も自分のしたいことをして、お互い自粛生活に満足していたと思う。LINEは毎日していた。

 

6月に私の内定が決まり、月末に久々に会った。私の就職活動が終わったことを彼はとても喜んでくれたが、彼自身はきっと自分の今後について色々悩んでいたのだと思う。彼の進路について聞いても、あまり話したがらなかった。その後も将来についての話が二人の間でのぼることはあまりなかった。

 

しかし9月ごろ、彼が突如就活をスタートさせる。もともと芸能活動で挑戦したいことがたくさんあったらしく、卒業後はバイトでお金を稼ぐと言っていたが、家族から猛反対されたらしい(それはそう)。

かなり遅めのスタートで私は心配していたが、10月末ごろにコンサル職の内定をもらい、就活を終えた。

 

そして11月。二人とも残すは卒論のみで、気負うものがあまりないからこそ、私は彼との関係について改めて考えることが増えた。

大学四年生のカップルの悩みに、今後も付き合い続けるか否かがあると思う。しかし、「今後も私と付き合い続けますか?」と聞くのはとても勇気のいることである。そもそも私と彼は上記の経緯を見てもらうとわかるように、あまりお互いのことに深く干渉しない。二人でいるときも他愛ない会話しかしておらず、真面目な話はほとんどしてこなかった。

 

だからこそ、本音で話すことにとても緊張した。

昨夜、「明日、真面目に聞きたいことがあります」とLINEして、自分の逃げ道を断った。

会ってまず聞いたのは、「3月からのコロナ期間中、浮気とかしませんでしたか?」という質問。というのも、「昨年12月から全く夜の営みをしていない」と女友達に話してとても驚かれたからだ。「それ、普通なら浮気を疑ってもおかしくないよ」という彼女の言葉で、今まで私があえて見ないふりをしていた懸念が鮮明になって、一気に不安になった。

彼曰く「それは全くない」ということで、心配させてしまって本当にごめんと謝られた。本当にコロナが原因で接触を控えているらしい。(彼の親が高齢者の医療従事者のため)

 

本当はもっといろいろと聞きたいことがあったが、また本音をぶつけるのが怖くなって、「聞きたいのはそれだけです」と続きの追及をやめてしまった。

でも、今を逃したら一生聞けなくなる気がして、「私の仕事には転勤があるんですけど、転勤したとしても付き合い続ける気はありますか」と、ずっともやもやしていたことを聞いた。

すると、「うーん、どうだろうね…」とはぐらかされてしまった。

「今は分からない、2年目とかで転勤になってしまったら、(別れることも)考えないといけないかもしれない」「○○ちゃんにとって若い時間は貴重だし」と言われ、私は泣きそうになった。

(男なら、「俺についてこい、俺から離れるな、離れても好きでいつづけるよ」くらい言ってよ!!!)というのが本心である。

「女性にとって若い時間は貴重」というのは紛れもない事実だが、さきほどの回答に彼の気持ちは全く含まれていなかった。

(もしかすると、彼は私に飽きているのかもしれない、本当は別の女の子と付き合いたいのかもしれない)(私を理由にしているけど、それも私を傷つけないための建前なんじゃないか)と疑う気持ちが止まらず、再び涙がこぼれそうになった。が、耐えた。

 

その後、卒論を進めるべく二人でカフェに入るも、私はまったくと言っていいほど集中できなかった。というか、泣くのを耐えるのに必死。向かいで平気そうな顔をしている彼がうらめしくて、心の中で色々なものが爆発しそうだった。

 

2時間ほど卒論作業を進めたところで、会計を済ませ、店を出た。「ちょっと座らない?」と聞くと、「もう帰らないといけない」と言われる。(これを逃したらもう、ずっと聞けなくなる気がする。それでいいの?)と考え、思い切って言った。

 

 

「あの、先輩は、私と仕方なく付き合っているんですか?」声が震えた。

 

「にゅ!?なぜそうなるポン!?」彼はすごく驚いていた。いつもなら笑うところだが、このときの私に笑う余裕は全くなかった。

 

「もうすぐ、付き合って3年で、マンネリになってもしょうがないじゃないですか。ひょっとして先輩は、嫌々ながら、優しさで私と付き合ってくれてるんじゃないかって……」

「そんなことないよ」

「………私のこと、本当に好きですか?」

「うん。好きだよ。やさしさで付き合ってるなんて、そんなことないよ。………ごめんね、そんなこと考えさせちゃって、ごめんね」

もうこのあたりで涙がとまらなかった。でも、もう色々言いたいことを言えるのは今しかないと、ズビズビ鼻をすすりながら話し続ける。

「でも、もし私が誰か別に好きな人を作って、そういう関係になったとしたら、先輩は諦めちゃいますよね?」

「うん…たぶん、そうだと思う」

「そんなこと言わないでくださいよ!先輩はもう少し、わがままになったほうがいいです。いつも先輩は『私が幸せならそれでいい』って言うけど、私は、先輩と幸せになりたいんです」

「…ありがとう」

「それでも、結婚は考えられないんですか」

「うん…今は何とも…考えるとしても、5年後、10年後になってしまうかもしれない」

「そんなの、ずるいです」

「…でもね、俺は、いろいろやりたいことがあるし、仕事も一生続ける気は全くない。たぶんすぐやめてしまうと思う。家にはまったくお金を入れられないと思う。たぶん一緒に暮らすとなったら、お金のことでぎくしゃくしてしまうと思う。それに…(両親が高齢だから)介護の問題もある。…だから、○○ちゃんと結婚すると、すごく迷惑をかけてしまうし、責任を取り切れない」

驚いた。この人も一応いろいろと考えてはくれていたんだ。

「まあたしかに、私の方が所得はたぶん上になると思います……。お金でギクシャクするのは嫌ですね。今はギクシャクしないと思っていても、実際に当事者になってみないと分からない」

「うん。○○ちゃんは、外見的にも内面的にも良い子だから、いろんな人に人気があると思う。俺は○○ちゃんといて一緒にいて楽しいし、今後も付き合い続けたいし、別れる理由が本当に一つもないけど……。もし○○ちゃんが結婚を望んでいるなら、その期待に俺は応えられないかもしれない。やっぱり収入の問題が大きい」

「じゃあ。社会人になって、私に先輩を受け入れる覚悟ができたら、私からプロポーズします!!」

「えwwww」

「というのは冗談交じりの、本気ですけど…」

「(笑)、まぁ、俺から養ってとは、とてもじゃないけど言いにくいよね。…たぶんさ、人生にはタイミングってものがあって、付き合い始めた当初は俺もこんな(芸能活動みたいな)ことやろうと思ってなかったから○○ちゃんと結婚したいとか話してたけど、今はその保証ができないんだ。」

「ふむ」

「ハギも一緒でさ。あいつともこういう話題になったんだよ。あいつの彼女は保証がなくてもいい、それでも結婚したいって言ってるらしくて、ハギもじゃあ、って言って結婚も視野に入れて付き合ってるらしいけど……。俺としては、付き合い続けてくれたのに結婚できなかったら本当に申し訳ないし、俺は取り返しがつかなくなる前におわりにしたほうがいいと思ってる。きっと、これからいろんな出会いがある。それなのに、今すべてを決めてしまうのは早計だと思う。」

「うん……」

「俺も、自分が生計を立てられるようになったタイミングで出会った人と結婚したほうがいいと思ってるし、たとえ恋愛的に好きな相手じゃなくても、お金のことでゴタゴタするよりは、お金にも余裕があって、俺の(たとえば)話し好きな部分しか求めないとかいう相手とのほうが、結婚はうまくいくと思う」

「…なるほど」

「まぁ今のは正論であって、正論が全て正しいわけじゃないんだけど」

「確かに、私が経済的な部分を求めないといったら嘘になります。でも、私はそれよりも人間として尊敬できる相手かどうかのほうを重視しているんです。たしかに、これからもっと経済的にも豊かで、尊敬できる人にはたくさん出会うと思います。実際、大学でもそういう人はたくさんいました。でも、私は先輩の尊敬できる部分が一番好きで、これからもずっと一緒にいたいと思ってます」

「…ありがとう」

 

ちょっと記憶があいまいで多少ニュアンスは違うかもしれないけどたしかこんな感じだったと思う。

彼の言うことはごもっとも。予想以上に彼が先のことについて考えてくれていたことに驚いたし、私も少しヒートアップしていたので冷水を浴びせられたような思いがした。

 

ひとまず今はこのまま付き合い続けましょうということになった。今後の収入や出会い次第では変わるかもしれない。

 

でも、本音をぶつけたことで相手の考えを理解できたことが、とても大きな収穫だった。少なくとも私も彼もお互いを好いているし、付き合い続けたいとは考えている。それに、お互い、自分が負担になりたくないという気持ちも一致している。

 

夢とか愛だけじゃどうにもならない歳になってしまったけれど、こうして話をして、理解しあうことができるなら、どんな関係になったとしても……仮に恋人ではなくなってしまったとしても、彼とはうまくやっていけるだろうと思った。

 

ちょっと書いてて疲れた~~~また思いだしたら続きかくね…